いつでも動画が簡単にみられて、誰でも動画を簡単に発信できる時代になり、動画編集スキルの注目度も上がってきました。
でも、すでに多くの人が動画編集スキルを身に付けているので、「自分が今から学ぶのは遅いのではないか」と躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事でわかること
Q
今後も需要が続くかわからないので、今から動画編集スキルを学び始めるのは遅いのではないか?
A
動画編集スキルは今後も需要が高いので今から学び始めても遅くないが、動画制作全体のマネジメントスキルも需要になる
- なぜ、今後も動画編集スキルの需要は高いと言えるの?
- なぜ、今から学び始めても遅くないと言えるの?
- なぜ、動画制作全体のマネジメントスキルも重要になるの?
この記事では、テレビ局から異業界/異職種に転職して、動画編集スキルを活かして仕事をしている私が、動画編集スキルの将来性をわかりやすくコンパクトに解説します。
この記事を読めば、動画編集スキルはまだまだ習得して損はないスキルであることが分かります。
この記事を書いた人
- リスキリングで動画編集/Webマーケティングを習得
- 34歳で未経験の業界/職種に転職(地方テレビ局の記者→製造業の広報担当)
- 資格:ITパスポート/基本情報技術者試験/情報学修士号
- ブログ「よちよちデジタル」(月間1.5万PV)運営
動画編集スキルの需要は続く理由
今後も動画編集スキルには、高い需要があると私が考える理由は3つあります。
動画編集スキルの需要は拡大する理由
- 動画広告市場は急成長中
- 企業の動画活用目的は多様化している
- 動画を活用している企業はまだまだ少数
端的に言えば、企業の動画活用はまだまだ始まったばかりです。今後、さらに動画を活用する企業が増えることが予想されるため、動画編集スキルの需要はますます高くなると私は考えています。
①:動画広告市場は急成長中
動画編集スキルには今後も高い需要があると考える理由の一つ目が、「依然として動画広告市場は成長している」からです。
次のグラフは、インターネットテレビのABEMAを運営するサイバーエージェントが行った国内の動画広告市場の調査結果です。
2023年の国内の動画広告市場は6253億円で、前年よりも12%増加。
そして、2027年には1兆228億円まで市場が拡大すると予測しています。
ここ数年で動画広告は一気に増えましたが、今後はさらに増えていくことが予想されているのです。
②:企業の動画活用目的は多様化している
動画編集スキルには今後も高い需要があると考える理由の二つ目が、「企業が動画を活用する目的が多様化している」からです。
企業は動画を広告だけに利用しているのではなく、社員研修や業務マニュアルなど企業活動の様々なシーンで活用しています。
次のグラフは、企業の動画担当者を対象に動画の活用目的を尋ねた調査結果です。
この調査結果で注目したいのが、社外向けよりも社内向けに動画を活用している企業の割合が多いという点です。
動画広告ばかりに注目してしまいますが、企業は様々なシーンで動画を活用しているんですね。
この結果からわかるのは、動画広告以外の需要にも、まだまだ伸びしろがあるということです。
この調査結果は、私の肌感覚とも一致します。
私も職場内では、外部に発信するための動画すよりも、「社内向けに発信するための動画を編集してほしい」という相談の方が多いです。
今後も動画広告が伸びていくのと同様に、動画広告以外の動画活用も今後もますます活発になると私は考えています。
③:動画を活用している企業はまだまだ少数
動画編集スキルには今後も高い需要があると考える理由の三つ目が、「動画を活用している企業はまだまだ少数」だからです。
次のグラフは、企業の経営者に動画活用の意向を尋ねた調査結果です。
注目したいのが、「過去も今後も注力する予定はない」/「未定」と回答した経営者が全体の69%に上るという点です。
「現在注力している」と回答したのは、わずかに12.3%。
この結果から、実態としては企業の動画活用はまだまだ発展途上だということが読み取れます。
動画を活用できていない企業が多い理由は、動画活用の動きがまだ一部の大企業に限られているからだと思います。
しかし、国内の企業のほとんどは中小企業です。
中小企業でも、今やほとんどの企業がウェブサイトを持っているように、いずれは中小企業にも動画を活用する動きが広がるのは時間の問題です。
そうなれば、動画編集のスキルはさらに需要が高まると私は予想します。
動画編集スキルの将来性に対する懸念と対策
動画コンテンツの需要はまだまだ拡大しているため、それに伴って、今後も動画編集スキルの需要も高くなります。
しかし、このストーリーには一つ大きな懸念があります。それが「動画編集AI(人工知能)」の台頭です。
動画編集AIの台頭
動画編集AIとは、「動画を適切な長さにカットして、並び替えて、字幕と音楽をつける」といった動画編集の基本的な作業を自動的に行ってくれるAIのことです。
実は、AIによる自動編集は複数の動画編集ソフトですでに実用化されています。
例えば、人気の編集ソフト「Filmora」では、AIを使って次のような作業ができます。
「動画編集AI」の例
- AI文字起こし
- AI画像生成
- AI動画生成
- AI音楽生成
- AIテキストベース編集
私は特に「AIテキストベース編集」が画期的だと思います。これを使えば、インタビュー動画や一人語りの動画編集の作業が圧倒的に楽になります。
このように、すでに実用化されている動画編集AIの技術がさらに向上していくと、正直、動画編集スキルのかなりの部分はAIが代替できるようになると思います。
人間の能力と遜色のない文章が書けるAIができたように、動画編集が完璧にできるAIが登場して何ら不思議はありません。
そうすると、基本的な作業しかできない動画編集スキルは、完全に陳腐化してしまうでしょう。
動画編集AI時代にむけて必要なこと
では、仮に基本的な動画編集はすべてAIに任せるような時代になったとして、動画編集スキルを強みにしている私たちはどうすればいいのでしょうか。
それは「動画編集AIを使いこなして価値を生み出す」側に回ることです。そのためには次の2つのことが重要です。
動画編集AIを使いこなすために
- 動画編集AIを積極的に使って、できること/できないことを知る
- 動画制作全体の企画やマネジメントをできるようにする
現時点でも、動画編集AIで効率化できる作業はたくさんあります。
積極的に動画編集AIを使うことで、「現時点で何ができるのか」「いずれは何ができそうなのか」「今後もAIには無理なことは何か」がわかります。
こうすることで、動画編集AIを正しく使って、正しく恐れることができるようになります。
もう一つ、重要なのが、「動画制作全体の企画やマネジメント」をできるようにしておくことです。
そもそも動画編集は動画制作全体における一つの工程に過ぎません。
動画制作全体の流れ
- コンテンツ企画
- 台本作成
- 映像取材
- 動画編集
- 発信
仮に動画編集の作業工程がすべて機械に置き換わったとしても、動画制作全体でみれば人間が行う工程はまだいくつもあるのです。
特に、「コンテンツ企画」や「台本作成」というのは、AIが苦手とする分野です。
動画コンテンツを見る視聴者の気持ちや前提知識をくみ取る「想像力」が必要になるからです。
動画編集全体をディレクションできる能力があれば、人間がいらなくなるような動画編集AIが登場したとしても、「自分の価値を脅かす優秀な新人が来た」と思うのではなく、「自分の負担を分担してくれる有望な助っ人」と認識できるはずです。
まとめ:動画制作全体を仕切れる人材になろう
企業の動画コンテンツの活用は今後も増加するので、動画編集スキルの需要が高まるのは間違いないです。
しかし、その需要があるからこそ、AIを活用した動画編集ソフトの開発も加速していくでしょう。
動画編集AIが台頭したときでも、動画制作に強みを持った人材でいるためには、動画制作全体の企画やマネジメントが必須になります。