年間10万人が受験するIT人材になるための登竜門が「ITパスポート試験」です。
この試験に合格することで、IT世界の輪郭が見えてきます。
決して難易度の高い試験ではなく、参考書を利用して一定期間の勉強をすれば未経験の初心者でも合格することができます。
ただ、IT未経験の初心者だと理解につまづく点が多いのも事実です.
この記事では、初心者におすすめの勉強の進め方について解説します。
ITパスポート試験を目指す方の効率的な学習に役立てば幸いです。
ITパスポート試験とは?
ITパスポート試験とは情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験です。
大きな特徴の一つが、ITに関する知識だけではなくビジネスに必要な知識も問われること。
ITは知識であり、技術です。適切な目的があって、初めて大きな意味を持ちます。
こうした考えからITパスポート試験ではITを使う力=ビジネスの力があるかどうか試されます。
もちろん、ITはビジネスだけに役に立つわけではありません。
プライベートでも学生であっても、ITを使う場面はたくさんあります。
ただ、ITパスポート試験はITを企業の中で生かそうとする人を対象にしています。そのためビジネスで使うことを前提に試験が組み立てられているのです。
初心者がつまづくのは「テクノロジ系」
ITパスポート試験は次の3つの分野から出題されます。ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系です。
このうちストラテジ系は主にビジネスに関する知識が問われる問題です。企業活動や法務、経営戦略などの知識が該当します。
この辺りの知識は社会人の方であれば事前知識がなくても、それほど苦労せずに覚えることができます。それぞれの仕事場で,すでに企業活動を経験しているベースがあるからです。
一方、未経験者にとって大きな課題となるのがテクノロジ系の問題です。
テクノロジ系では情報学の基礎理論やコンピュータシステムに関する知識が問われますが、未経験者にっては多くが初めて知る単語ばかりです。
これらの知識は、コンピュータやソフトウェアを生み出す基礎となる知識です。
ただ、テクロノジ系の知識を知らなくても、私たちはコンピュータやソフトウェアを使うことができます。
自動車の作り方を知らなくても、車を運転して活用できていることと同じです。
そのため、企業や大学でITの開発経験がある方以外はテクノロジ系の知識については、ほとんど馴染みがありません。
ベースとなる経験がないので、理論を理解したり、単語を覚えるのたりするのに時間がかかります。
優先順位はテクロノジ系→ストラテジ系→マネジメント系
ITパスポート試験で問われる3つの分野の出題比率は、以下の通りです。
分野別の出題比率
▶出題数:100問
ストラテジ系:35問程度
マネジメント系:20問程度
テクロノジ系:45問程度
▶合格基準:3分野ぞれぞれで3割以上,かつ全体で6割以上の正答
テクノロジ系の出題比率が全体の半数近くを占めています。
つまり未経験者がITパスポートを受ける場合、最も優先して勉強するべきなのがテクノロジ系です。
私がおすすめする学習の順番は、次の通りです。
ITパスポートの学習順序
テクノロジ系(出題比率45%)→ストラテジ系(35%)→マネジメント系(25%)
出題されるボリュームが大きい分野から攻めるということです。
いざ社会人が勉強を始めると、ビジネスに直結するストラテジ系やマネジメント系の知識の方が、学習に身が入りやすいものです。
すでに企業活動を経験しているので、新しい知識を知ることで、これまでとは違った視点で職場のことを考えられるようになるのが楽しいからです。
ただ、取り掛かりやすいものを優先してテクロノジ系をおろそかにすると、後で痛い目をみます。
テクロノジ系を理解するには、ある程度時間がかかります。
まず、テクノロジ系にじっくり取り組んで、6割の正答率を目指しましょう。
テクノロジ系の学習がある程度進んだら、次はストラテジ系です。
ストラテジ系は社会人であれば、基礎となる仕事の経験があるため理解が進みやすい分野で高得点が狙えます。ここは確実に8割は正解できるようにしましょう。
最後にマネジメント系の分野ですが、この分野もテクロノジ系同様にIT企業にお勤めの方以外はベースとなる体験がないので、知識を覚えにくいです。
ですが、配点は全体の20%と低いため5割の正答を目指せば十分です。
分野別の目標正答率をまとめると,以下のようになります。
分野別の目標正答率
▶出題数:100問
ストラテジ系:35問程度 →目標 正答率8割(28問程度)
マネジメント系:20問程度 →目標 正答率5割(10問程度)
テクロノジ系:45問程度 →目標 正答率6割(23問程度)
▶合格基準:3分野ぞれぞれで3割以上,かつ全体で6割以上の正答
もちろん、3つの分野満点を目指すに越したことはありません。
しかし、社会人の方は勉強時間の確保が難しくメリハリをつける必要があります。分野によって勉強する時間の優先順位をつけることが、合格への近道だと思います。