学び直し

学び直しで注目 リカレント教育とリスキリングの違い

人生100年時代と言われる近年、社会人の学び直しに注目が集まっています。

そうした中で、よく耳にするようになったのが、「リカレント教育」「リスキリング」という2つの言葉です。

大まかに言えば、それぞれ社会人が学び直すことを指す言葉ですが、どんな違いがあるのでしょうか。

リカレント教育とは

総務省が公表している情報通信白書では、リカレント教育を以下のように紹介しています。

就職してからも、生涯にわたって教育と他の諸活動(労働、余暇など)を交互に行うといった概念

総務省「情報通信白書平成30年版」

リカレント教育は、2017年に、当時の安倍政権が設置した「人生100年時代構想会議」の中で、日本が取り組むべき重点施策のひとつに挙げられました。

しかし意外にもこのリカレント教育という言葉の歴史は古く、最初に提唱されたのは1960年代のスウェーデンであったといわれています。

1973年にはOECD(経済協力開発機構)がリカレント教育に関する報告書を公表したことで、国際的にも広く認知されるようになりました。

リカレントは英語で、「再発する・周期的に起こる」という意味です。

通常、学校教育を一定期間連続して受ける機会は人生に1度だけで、就職して社会人になれば必要な教育は企業などで受けるケースが多いのが現状です。

しかし、リカレント教育では学校教育から離れ就職した後でも、必要に応じて学び直しを行い能力を磨き続けることを想定しています。

リスキリングとは

こうした社会人の学び直しを指す言葉として、もうひとつ近年、注目されているのがリスキリングです。

海外のリスキリング事情に詳しいリクルートワークス研究所は、リスキリングを以下のように定義しています。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」

リクルートワークス研究所ウェブサイト「世界が急ぐリスキリング、日本はどう追うべきか」より

DX(デジタルトランスフォーメーション)に対応するために、海外では従業員のスキルや能力を再開発するリスキリングの取り組みを行う企業が増加しているといいます。

リカレント教育とリスキリングの違い

「リカレント教育」と「リスキリング」は、どちらも社会人の学び直しを意味していて、一見すると同じ言葉のようにも感じます。

リクルートワークス研究所の石原直子人事研究センター長は、両者の違いについて、以下の点を挙げています(経産省「デジタル時代の人材政策に関する検討会」資料より)。

リカレント教育とリスキリングの違い

リカレント教育は「働く→学ぶ→働く」のサイクルを回し続けること。学ぶために「職を離れる」ことが前提になっている。

リスキリングでは、「これからも職業で価値創出し続けるために必要なスキル」を学ぶ点が強調される。

もちろんリカレント教育では、就業しながらオンライン講座などを利用して大学に通う人もいますので、必ずしも離職が前提になるわけではありません。

リスキリングは、リカレント教育に比べると、よりビジネス向けに実践的なことを学ぶという意味合いが強い言葉のようです。