
この記事ではITパスポートのストラテジ系で学ぶ「デシジョンテーブル」について解説します。
デシジョンテーブルは、複数の条件の状況を見極めつつ意思決定をするときに役立つ業務分析手法です。
複数の条件の下で意思決定をする際は、想定される状況のパターンが多岐にわたり、頭の中だけでは整理が難しくなります。
デシジョンテーブルを作成することで、想定される状況を視覚的に理解できるようになり、的確かつ素早い意思決定ができるようになります。
デシジョンテーブルとは…「条件と行動の一覧表」
日々の仕事の中で「すぐに意思決定ができない」という経験はないでしょうか。
なぜ、判断がつかないのか。
「行動を決定するための条件が複数あり、その条件がどうなるか分からないから」
そんなケースもあると思います。

先が読めない不確実性の高い状況における意思決定をうまく行うにはどうすればいいのか。
そこで役に立つのがデシジョンテーブル(決定表)です。
デシジョンテーブルとは、以下のような表を指します。

このデシジョンテーブルは、コロナ禍でイベントを開催する場合を想定しています。
「開催するときに新型コロナの感染状況はどうなっているか」
「会場で感染症対策はしっかりできるのか」
「会場を借りるのか、オンライン開催にするのか」
イベントをやろうと思い立っても、いざ考え出すと複数の条件と、その状況に応じた複数の行動パターンを想定することができます。
頭の中であれこれ考えるよりも、条件と行動のパターンを整理して可視化することで意思決定が容易になります。
そのために作成するのがデシジョンテーブルです。
表の見方のポイントは以下の3つです。

例えば、このデシジョンテーブルの赤枠部分を読み解いてみます。
まず、上段の条件を確認していきます。
この列では「集客が見込める」と「会場費10万円以下」の条件がYESで、「会場で3密対策が徹底可」がNOとなっています。
さらに下段の行動を確認すると、「オンライン開催」が✖になっています。
つまり、この列が意味する情報は以下の通りです。
「集客が見込める」と「会場費10万円以下」の条件がYESで、「会場で3密対策が徹底可」がNOの場合は、イベントは「オンライン開催」にする
このデシジョンテーブルでは、条件が3つ設定されています。
それぞれの条件にYESとNOがあるので、想定される状況は2×2×2で8パターンになります。
こうしたデシジョンテーブルをつくることで、複数の条件があった場合でも、状況を整理して的確な意思決定を行うことができます。
事前に状況を先取りして備える
デシジョンテーブルのメリットをさらに掘り下げると、今後想定される状況を先取りして検討することができる点を挙げることができます。

こちらの赤枠部分に注目してみます。
この列では「集客が見込める」はNOで、「会場で3密対策が徹底可」と「会場費10万円以下」の条件がYESです。
そして、この条件のときの行動は「イベントを中止する」になっています。
ただ、実際はこの条件下では「イベントを中止する」という行動以外にも、「会場を借りて開催する」という行動も想定されます。
集客は限定的で利益はでなくても、今後のためにまず赤字でも試験的にやってみるという考え方もあり得るからです。
ある条件下で選択し得る行動は、一つとは限りません。
条件によっては「会場を借りて開催」と「オンラインで開催する」の両方を行うという選択肢もあり得ます。
どの条件がどうなるのか。それは、その時が来てみないとわかりません。
ただ、いざその状況になったときから検討を始めたのでは対応が遅れ、本来選択したい行動をとることができない可能性も出てきます。
そのときの状況をどのように解釈するかは、人によって判断が分かれますし、組織であれば行動を選択する前に合意が必要になるからです。
意思決定の遅れを防ぐためには、事前の検討が欠かせません。
デシジョンテーブルを作成して想定される状況を先取りすることで、素早い意思決定につなげることができます。

この記事のまとめ
・デシジョンテーブルは複数の条件の状況を見極めつつ意思決定をするときに役立つ業務分析手法
・上段が「条件の一覧」、下段が「行動の一覧」を示している
・デシジョンテーブルで未来の状況を先取りすることで意思決定のスピードを上げることができる