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企業のDXの目的は? 日米でスタンスの違い鮮明

いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)について、日本の企業は既存のビジネスを変える目的で推進する企業が多い一方で、アメリカの企業では新しいビジネスをつくるために推進する企業が多いことが民間の調査でわかりました。

この調査は一般社団法人「電子情報技術産業協会」が実施したものです。2020年8月から9月にかけて、日米あわせて644社(日本344社、アメリカ300社)を対象に、DXの取り組みの現状や新型コロナウイルス感染拡大の影響などについてアンケート調査しました。

DXを推進する目的 出典(2021 年 JEITA / IDC Japan調査)

それによりますと、日本の企業が挙げた目的は割合の高い順に「業務オペレーションの改善や変革」41%、「既存ビジネスモデルの変革」28.4%、「新製品やサービスの開発/提供」27.5%でした。

アメリカの企業で最も回答が多かったは「新規事業/自社の取り組みの外販化」46.4%。次いで、「新製品やサービスの開発/提供」34.9%、「顧客エンゲージメントの改善や変革」34.6%などとなりました。

日本の企業は既存ビジネスを変える目的でDXを推進するケースが多い一方で、アメリカの企業は新しいビジネスをつくることをDXの目的にしている傾向が読み取れます。

新型コロナ感染収束後の変化についての予測 出典(2021 年 JEITA / IDC Japan調査)

また、新型コロナの感染収束後に、自社や経済全体などで起こるデジタル技術を用いた変化について尋ねています。

この質問の回答について、日本の企業で最も多かったのは「働き方の大規模な変化」33.7%。アメリカの企業は「業務の自動化業域拡大」38%でした。

以下の表は日米の企業で回答の割合の差が大きかった項目順に並べ直したものです。

日米の企業で回答の差が大きかったのは「異業種企業間の協働拡大」21.3ポイント、「従業員体験の強化」18.8ポイント、「デジタルサービスやアプリの内製化」17.8ポイント、「データを活用した意思決定範囲の拡大」17.7ポイントなどとなりました。いずれもアメリカの企業の方が回答の割合が高くなりました。

一方、「特に大きな変化は起きない」と回答した企業は、アメリカでは1%だったのに対し、日本の企業は15.4%となりました。

新型コロナ収束後に想定される変化の見通しについて、一部の項目では日米の企業で認識の違いが鮮明になりました。