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中小企業白書 デジタル化の重要性指摘も半数企業が「IT人材不足」

中小企業庁は2021年版の中小企業白書をまとめました。企業のデジタル化について、大半の企業が重要性を認識しているものの「IT人材の確保ができていない」と指摘しています。

「中小企業白書」は中小企業庁が毎年公表しているもので、中小企業の現状や将来の展望などをまとめています。

2021年版「中小企業白書」は「危機を乗り越え、再び確かな成長軌道へ」をテーマとして、新型コロナの感染拡大を乗り越えるための方針や実際の企業の取り組みなどを紹介しています。

デジタル化に関してはおよそ130ページを割いてまとめています。

それによりますと、各企業(全産業)に「デジタル化について事業方針上の優先順位」を尋ねたところ、「高い」・「やや高い」と回答した企業が6割(61.6%)を超えました。新型コロナ感染拡大の前の45.6%から16ポイント上昇。新型コロナの感染拡大をうけてデジタル化の必要性を感じている企業が増加していることがうかがえます。

感染拡大をうけてデジタル化の取組で重要度が上がった項目(全産業)については、「経営判断や業務プロセスの効率化・固定費の削減」が49.8%と約半数を占めています。そのほか「新たな事業や製品、サービスの創出と改善」が34.1%などとなっています。

一方で「デジタル化の取組全体を統括できる人材」については「確保できていない」と回答した割合は55.2%に上り、中小企業のデジタル化を進める人材が不足していると指摘されています。

さらに「デジタル化推進に向けた課題」については、「アナログな文化・価値観が定着している」を挙げた企業が46.4%と最も多くなりました。次いで「明確な目的・目標が定まっていない」が40.2%、「組織のITリテラシーが不足している」が39.8%などとなりました。

こうしたことなどを背景に企業規模別のコンピュータ・ソフトウェアの投資比率は、大企業で10%を超える一方で、中小企業では5%ほどとにとどまっているということです。

白書では新型コロナの感染拡大をうけて「生産性の向上や働き方改革に加えて、事業継続力強化の観点からも、中小企業のデジタル化の重要性が急速に高まっている」と指摘しています。