電話やパソコンは通信機器と呼ばれます.要するに,通信を行う機械というわけです.
ただ,通信を辞書で調べると気になる表現が出てきます.
【通信】
郵便・電信・電話・パソコンなどによって意思や情報を通ずること
広辞苑
広辞苑では,郵便も通信の一種だと紹介されています.
郵便も通信と言われると,混乱する人もいるのではないでしょうか.
今回は「通信」という言葉の意味を,もう少し掘り下げてみます.
通信=離れた場所とコミュニケーションをとること
通信という言葉を理解するために,まず英語の表記を考えてみます.
通信は英語でtelecommunicationと書きます.teleは「離れた」という意味です.
つまり「離れた場所とコミュニケーションをとること」.これが,通信という言葉の意味です.
ただ,離れた場所って,どのくらいの距離を指すのか.厳密な定義はないようですが,通常,人間の体が見えなかったり,声が届かなかったりするくらいの距離と理解されています.
人間の身振り手振りや声が届く範囲であれば,普通のコミュニケーションをすれば事足ります.人間の能力を超えて,より遠くの人とコミュニケーションをとる.通信という言葉には,そういう意味合いが含まれています.
郵便は遠くの人とコミュニケーションをとる社会の仕組み
通信=「離れた場所とコミュニケーションをとること」
こう考えると実は大昔から,人間は通信を行っていたことに気が付きます.
例えば,その一つに狼煙が挙げられます.
狼煙は煙を高く上げることで,遠くから煙を見た人に何かしらのメッセージを伝えます.日本の戦国時代には,狼煙を上げる数で攻めてきた敵軍の数を知らせていたといいます.
さらに,人間が遠くの人とコミュケーションをとるために整備した仕組みがあります.それが郵便です.日本には,すべての市町村にくまなく郵便局や郵便ポストがあります.簡単な手続きを踏めば,誰でも手軽に全国の人に手紙を送ることができます.
あまりに身近なサービスであるために,普段その意味を深く考えることがありませんが,郵便とは遠くの人とコミュニケーションをとるために人間が作り出した社会の仕組みであり,通信手段と言うことができます.
通信とは,電話やテレビといった近代的な機器を使って行うものと考えがちですが,実は昔から人間が行ってきた行為なのです.
通信手段の特徴は「記号化」
ここまで通信の意味や通信手段の具体例を紹介してきました.
通信手段の在り方は様々で,伝え方もそれぞれですが,1つ共通点があります.それは,「伝えたいメッセージを別のモノに置き換える=信号化」をしている点です.
例えば,狼煙という通信手段では,「敵軍の数」を「煙の数や色」に置き換えています.
郵便では,メッセージを文字で置き換えています.
電気を使った最初の通信手段として知られるモールス信号は,文字をさらに「トン(-)」と「ツー(—)」で置き換えています.
「人間の能力を超えた距離で,コミュニケーションを行うこと」が通信でした.
通常,人間は伝えたいメッセージを身振り手振りや言葉に置き換えます.
ただ,離れた場所にいる相手には,自らの姿は見えませんし,声も届きません.そのため,離れた相手とコミュニケーションをとる通信では,伝えたいメッセージを身振り手振りや言葉以外に置き換える必要があるのです.
その作業は信号化と呼ばれます.通信とは,まさに信号を通すとことなのです.
通信の発展 電波の時代
通信といえば,電話やテレビ,パソコンで行うことだと思っている人は少なくないと思います.それだけ,これらの機器で行う通信がここ数十年の間に爆発的に広まっているからです.
その背景には,通信で信号を運ぶ手段に電波を使っていることが挙げられます.
通信手段を「信号の形」,「信号をつくるもの」,「信号を運ぶ手段」にわけて考えてみます.狼煙は信号を煙でつくり,目で見せています.郵便はインクで文字を書いた紙を,人間が運んでいます.
いずれの手段も,普通の人間の能力を超えて,遠くの人とコミュニケーションをとることは確かにできますが,一方で限界もあります.
狼煙が見えるのは,せいぜい十数キロ.しかも,煙の信号は風が吹けば,見えなくなることもあります.郵便は日本のみならず,世界各地に送ることができますが,国内だと早くても翌日,海外であれば1週間以上かかる場合もあります.
遠くに伝えるための通信手段ですが,その能力は「信号をつくるもの」や「信号を運ぶ手段」によって,大きく左右されます.
この点,現在の電話やパソコンなどに多く用いられている「信号を運ぶ手段」は,電波です.
電波はなんと,1秒間に地球を7周半するほどの速さで進みます.この電波に,電気でつくった信号を乗せて運んでいます.
この運搬方法は強力で,私たちが日常的に体験しているように,ほぼ瞬時に海外にいる人とでもコミュニケーションをとることができます.
人間が行ってきた通信の歴史の中をひもといていくと,私たちが普段当たり前だと思っている電話やパソコンでの通信が,いかに「超人的」であるかがわかります.
用語解説
通信の意味ってなに?「郵便も通信」意外な仕組みと歴史
電話やパソコンは通信機器と呼ばれます.要するに,通信を行う機械というわけです.
ただ,通信を辞書で調べると気になる表現が出てきます.
広辞苑では,郵便も通信の一種だと紹介されています.
郵便も通信と言われると,混乱する人もいるのではないでしょうか.
今回は「通信」という言葉の意味を,もう少し掘り下げてみます.
通信=離れた場所とコミュニケーションをとること
通信という言葉を理解するために,まず英語の表記を考えてみます.
通信は英語でtelecommunicationと書きます.teleは「離れた」という意味です.
つまり「離れた場所とコミュニケーションをとること」.これが,通信という言葉の意味です.
ただ,離れた場所って,どのくらいの距離を指すのか.厳密な定義はないようですが,通常,人間の体が見えなかったり,声が届かなかったりするくらいの距離と理解されています.
人間の身振り手振りや声が届く範囲であれば,普通のコミュニケーションをすれば事足ります.人間の能力を超えて,より遠くの人とコミュニケーションをとる.通信という言葉には,そういう意味合いが含まれています.
郵便は遠くの人とコミュニケーションをとる社会の仕組み
通信=「離れた場所とコミュニケーションをとること」
こう考えると実は大昔から,人間は通信を行っていたことに気が付きます.
例えば,その一つに狼煙が挙げられます.
狼煙は煙を高く上げることで,遠くから煙を見た人に何かしらのメッセージを伝えます.日本の戦国時代には,狼煙を上げる数で攻めてきた敵軍の数を知らせていたといいます.
さらに,人間が遠くの人とコミュケーションをとるために整備した仕組みがあります.それが郵便です.日本には,すべての市町村にくまなく郵便局や郵便ポストがあります.簡単な手続きを踏めば,誰でも手軽に全国の人に手紙を送ることができます.
あまりに身近なサービスであるために,普段その意味を深く考えることがありませんが,郵便とは遠くの人とコミュニケーションをとるために人間が作り出した社会の仕組みであり,通信手段と言うことができます.
通信とは,電話やテレビといった近代的な機器を使って行うものと考えがちですが,実は昔から人間が行ってきた行為なのです.
通信手段の特徴は「記号化」
ここまで通信の意味や通信手段の具体例を紹介してきました.
通信手段の在り方は様々で,伝え方もそれぞれですが,1つ共通点があります.それは,「伝えたいメッセージを別のモノに置き換える=信号化」をしている点です.
例えば,狼煙という通信手段では,「敵軍の数」を「煙の数や色」に置き換えています.
郵便では,メッセージを文字で置き換えています.
電気を使った最初の通信手段として知られるモールス信号は,文字をさらに「トン(-)」と「ツー(—)」で置き換えています.
「人間の能力を超えた距離で,コミュニケーションを行うこと」が通信でした.
通常,人間は伝えたいメッセージを身振り手振りや言葉に置き換えます.
ただ,離れた場所にいる相手には,自らの姿は見えませんし,声も届きません.そのため,離れた相手とコミュニケーションをとる通信では,伝えたいメッセージを身振り手振りや言葉以外に置き換える必要があるのです.
その作業は信号化と呼ばれます.通信とは,まさに信号を通すとことなのです.
通信の発展 電波の時代
通信といえば,電話やテレビ,パソコンで行うことだと思っている人は少なくないと思います.それだけ,これらの機器で行う通信がここ数十年の間に爆発的に広まっているからです.
その背景には,通信で信号を運ぶ手段に電波を使っていることが挙げられます.
通信手段を「信号の形」,「信号をつくるもの」,「信号を運ぶ手段」にわけて考えてみます.狼煙は信号を煙でつくり,目で見せています.郵便はインクで文字を書いた紙を,人間が運んでいます.
いずれの手段も,普通の人間の能力を超えて,遠くの人とコミュニケーションをとることは確かにできますが,一方で限界もあります.
狼煙が見えるのは,せいぜい十数キロ.しかも,煙の信号は風が吹けば,見えなくなることもあります.郵便は日本のみならず,世界各地に送ることができますが,国内だと早くても翌日,海外であれば1週間以上かかる場合もあります.
遠くに伝えるための通信手段ですが,その能力は「信号をつくるもの」や「信号を運ぶ手段」によって,大きく左右されます.
この点,現在の電話やパソコンなどに多く用いられている「信号を運ぶ手段」は,電波です.
電波はなんと,1秒間に地球を7周半するほどの速さで進みます.この電波に,電気でつくった信号を乗せて運んでいます.
この運搬方法は強力で,私たちが日常的に体験しているように,ほぼ瞬時に海外にいる人とでもコミュニケーションをとることができます.
人間が行ってきた通信の歴史の中をひもといていくと,私たちが普段当たり前だと思っている電話やパソコンでの通信が,いかに「超人的」であるかがわかります.