プログラミング 用語解説

『ITリテラシー』ってなに?プログラミングは必要なの?

悩み
  • ITリテラシーってなに?何を学べばいいの?
  • ITリテラシーを修得するのに、プログラミングスキルは必要なの?

ITリテラシーとは「ITを使いこなす能力」のことです。

そして、ITリテラシーを身につけるために、プログラミングスキルは必須ではありません。もちろん、あるに越したことはありませんが。

この記事では、ITリテラシーの概要と、なぜITリテラシーを身につけるためにプログラミングスキルは必須ではないのか。その理由を詳しく解説します。

この記事でわかること

  • ITリテラシーの定義=『ITを使いこなすために必要な能力』
  • プログラミングスキルは「ITを作るために必要な能力」なので、ITを使いこなすためには必須ではない

ITリテラシーとは?

ITリテラシーとは、『IT(情報活用技術)を使いこなす能力』のことです。

ITとは、コンピュータなどの情報を扱う機器や、それによって実現されているインターネットなどの仕組みやサービスのことを指します。

これらの機器や仕組みを、自分の目的に合わせて使うことができることを、ITリテラシーがあると呼びます。

ただ、ITリテラシーという言葉は厳格な定義があるわけではありません。

ITリテラシーについては、様々な定義づけがされていますし、ITリテラシーに近い意味で「デジタルリテラシー」や「情報リテラシー」という言葉が使われることもあります。

例えば、ITパスポート試験を実施している情報処理推進機構がまとめた「ITリテラシースタンダード(ITLS)」では、ITリテラシーを以下のように定義しています。

社会におけるIT分野での事象や情報等を正しく理解し、関係者とコミュニケートして、業務等を効率的・効果的に利用・推進できるための知識、技能、活用力

出典:ITリテラシースタンダード(ITLS)初版

また、厚生労働省がまとめた資料では、ITリテラシーを以下のように定義しています。

現在入手・利用可能な IT を使いこなして、企業・業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結び付けるのに必要な土台となる能力のこと。いわゆる IT 企業で働く者だけでなく、IT を活用する企業(IT のユーザー企業)で働く者を含め、全てのビジネスパーソンが今後標準的に装備することを期待されるもの。

具体的には、

1.世の中にどのような IT があり、それぞれどのような機能・仕組みを有しているか、どのような場面で活用されているかについての理解。

2.企業・業務の課題解決場面に有用な IT を選定し、その IT を操作して目的に適う情報を取得・分析・表現し、課題解決に繋げる能力。

3.IT を安全に活用するための情報セキュリティやコンプライアンスの知識。

出典:平成29年度基礎的ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告

厚生労働省の定義の方が、ITリテラシーについてより具体的に書かれています。

「標準的に装備することを期待されるもの」という表現が、武器みたいでものものしいですね。

このように一口にITリテラシーと言っても、定義は様々ですが、なんとなくイメージがついたのではないでしょうか。

プログラミングは、ITリテラシー習得に必要?

さて、2020年度から、小学校ではプログラミング教育が始まりました。

こうしたこともあり、ITリテラシーを修得するには、プログラミングスキルを学ばなければいけないの?と考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、ITリテラシーを習得するためには、プログラミングは必須ではありません。

もちろんいずれかのプログラミング言語を使って、基礎的なことを学ぶことは重要だと思います。

ですが、ITリテラシーを習得するために、イチからITを作ることができるような高度なプログラミングスキルは必要ありません。

なぜなら、ITリテラシーとは「ITを使いこなすために必要な能力」であり、プログラミングは「ITを作るために必要な能力」だからです。

重要なポイントは、「ITリテラシーがある人=ITを作る人」ではない点を理解することです。

直感的に「ITリテラシーを持ってるのは、ITを作る人だけではないのか」と考えてしまいがちですが、そうではありません。

ITリテラシーがある人が、必ずしも自分でITを作り出すことができるとは限らないからです。

道具を作る能力と使いこなす能力は、別々の能力で、人間は作れもしない道具を使いこなすことを頻繁に行っています。

このことは、自動車を例えに挙げると分かりやすいのではないかと思います。

私たちの多くは、自動車を使いこなすことができます。

交通ルールを守って安全に道路を走行できたり、スタンドで燃料を補給したり。

不具合が起これば、修理業者に依頼する方法も心得ています。

このように、私たちの多くは、自動車を使いこなす、いってみれば「自動車リテラシー」(一般的な表現ではありませんが...)を持っていますが、自動車をイチから作ることができる人は滅多にいません。

自動車の作り方を知らずに、自分好みの自動車を選び、自動車を使いこなしています。

これと同じことが、ITについても言えます。

ITを使いこなすために、必ずしもITを作る能力を備えている必要はありません。

リテラシー(使いこなす能力)があることと、それを生み出す能力があることは、別次元の話なのです。

使いこなすために、「イチから作る」能力は必要ありません。

私はITリテラシーがあるとは、以下のことが自分で理解できることだと思っています。

私が考えるITリテラシーとは

  • ITを使ってできることと、できないことを理解している
  • ITを使うときにやるべきことと、やるべきではないことを理解している

以上、参考になれば幸いです。