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「デジタル」と「IT」の違いは? デジタル化=IT化でいいの? 

2020年11月28日

  • 「デジタル」と「IT」の違いってなんだろう?
  • 「デジタル化」=「IT化」ってこと?

この記事では、こうした疑問を解決します。

結論から言うと、「デジタル」と「IT」は、それぞれ違う意味を表す言葉で、デジタル化=IT化ではありません。

同じ文脈で使われることが多いことばですが、明確に違いがあります。

デジタルとITの違い

デジタル

  • デジタル:情報を数字で表す表現手法
  • デジタル化:情報を数字で表すこと

IT

  • IT:情報を活用するための技術
  • IT化:情報を活用できる状態にすること

この記事では、「デジタル」と「IT」を正しく使い分けられるように、違いをわかりやすく解説します。

情報ってなんだろう?

ITとデジタルの違いの話に入る前に、「情報」という概念について、理解をしておく必要があります。

皆さん、「情報」という言葉をよく聞きますよね。

でも、その意味をしっかり理解しているでしょうか?

辞書で「情報」という言葉を引くと、以下のような説明がでてきます。

【情報】
ある事柄の内容や事件などについての知らせ

文字・記号・音声など,種々の媒体によって伝達され,受け手の判断・行動などのよりどころとなる知識や資料

明鏡国語辞典

「情報」という概念について、正確に理解するために重要なのは、②の意味の「文字・記号・音声など,種々の媒体によって伝達され」という部分です。

私たちが理解できさえすれば、「情報」を伝える媒体はなんでもよいのです。

例えば、通信が発達していなかった時代の人々は、狼煙を使って連絡を取り合っていました。

あらかじめルールを決めておけば、人間は煙の形からも情報を読み取ることができるのです。

デジタルとは「情報の表現手法」

デジタルとは「情報の表現手法」

ここまで、情報を伝える媒体は様々がものがある、ということを説明しました。

デジタルとは「情報」というものの表現手法の1つです。

例えば、「砂時計」と「アナログ時計」を思い浮かべてみてください。どちらも時間を教えてくれる道具です。

ただ、砂時計は時間という情報を「砂の量」に、アナログ時計は「針の動き」に置き換えています。

砂も針の動きも同じ時間を表現していることに変わりはありません。ただ、表現の手法が違っているのです。

では、デジタルは何を使って表現をするのかと言えば、それは「数字」です。

デジタル時計は、数字だけで私たちに時間を伝えてくれます。

デジタルは、英語の形容詞でdigitalと書きます。

動詞のdigitizeは「数字で表す」という意味です。

言葉の意味通り、デジタル化とは「情報を数字で表現すること」を指します。

また「〇〇化」の化は、接尾辞と呼ばれ、以下の意味があります。

 【‐化】 
  そのような性質・状態などに変える,または変わる意を表す

明鏡国語辞典

ITとは「情報活用技術」 IT化とは… 

ITとは「情報活用技術」 IT化とは…

一方、IT(Infomation Technology)とは「情報活用技術」を指します.

「デジタル」という言葉は情報の表現手法を指すのに対して、「IT」は情報を活用するための技術を指します。

IT化とは「情報を活用できる状態にすること」と考えることができます。

デジタルとITの違い

デジタルとITの違い

デジタルとITの意味を整理すると、以下のようになります。

デジタルとITの意味

デジタル:情報を数字で表す表現手法
 ⇒デジタル化:情報を数字で表すこと

▶IT:情報を活用するための技術
 ⇒IT化:情報を活用できる状態にすること

デジタルという言葉は「情報の状態」に着眼点がある一方で、ITは「情報を活用する環境」に焦点を当てています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)との違いについては、こちらの記事で解説しています。

アナログの名刺を整理することもIT化

アナログの名刺を整理することもIT化

ITエンジニアの間で読み継がれている名著「コンピュータはなぜ動くのか」で、著者の矢沢久雄さんは次のように述べています。

ITは、Infomation Technology(情報技術)の略語ですが、「情報活用技術」訳すとわかりやすいでしょう。世間一般では、IT化と言えばコンピュータ導入のことであり、IT産業と言えばコンピュータ業界のことですが、SEは「IT=コンピュータ導入」と考えてはいけません。たまたま、ITの道具としてコンピュータが便利に使えるだけのことです。極端に言えば、コンピュータを使わないITもありえます

 たとえば、皆さんは、社外の人からもらった数十枚~数百枚の名刺をお持ちでしょう。それらの名刺をどのように活用されていますか?「名刺フォルダに入れて、あいうえお順に分類し、電話や郵便で連絡したいときに参照している」…なかなかITしてますね! 「お中元やお歳暮を贈るかどうかを区別するために、仕入先、販売先などに分類している」…ますますITしてますね!ここで「ITしてますね!」とは「情報活用してますね!」という意味です。コンピュータを使っていなくても、手作業で情報活用しているなら立派なITだからです。(太字下線筆者)

矢沢久雄「コンピュータはなぜ動くのか(日経BP社 2003年)P264より引用

矢沢さんは受け取ったまま輪ゴムでひとまとめにしてる名刺の束。これを「会社別」や「あいうえお順」に整理することはIT化と言っています。

名前やメールアドレスなどの情報が記載されている名刺を活用できる状態にする行為であるからです。

ただ、この際、必ずしも名刺をデジタル化する必要はありません。

名刺をアナログの紙のまま整理することもIT化になるのです。

IT化は「情報が活用できる状態にあるかどうか」が基準になるので、情報がデジタルかアナログかは問わないからです。

デジタル化だけIT化したとは言えない

一方、アナログの紙の名刺は写真を撮ったりスキャンしたりして、デジタル化することができます。

デジタルデータは、すべて0と1で表現されています。

しかし、名刺をデジタル化しただけではIT化したとは言えません。

デジタル化した名刺のデータを「企業別」や「あいうえお順」のフォルダにいれるなどして、活用できる状態にして初めてIT化したと言えます。

デジタル化は「情報が数字で表現されているかどうか」が基準になるので、情報が活用される状態にあるかどうかは問わないのです。

私の使っているパソコンのデスクトップも、気が付くと様々なファイルであふれ、整理ができていない状態になってしまいます。

ファイルはすべてデジタル化されていますが、きちんとIT化するためには日々のメンテナンスが必要になります。

このようにデジタル化とIT化はそれぞれ違う意味を表す言葉で、デジタル化=IT化ではありません。

まとめ

デジタルとITの違い

デジタル:情報を数字で表す表現手法
 ⇒デジタル化:情報を数字で表すこと

▶IT:情報を活用するための技術
 ⇒IT化:情報を活用できる状態にすること

デジタル化は「情報が数字で表現されているかどうか」が基準になりIT化は「情報が活用できる状態にあるかどうか」が基準になるので、デジタル化=IT化ではない。

以上、ITとデジタルの違いについて解説しました。

IT(情報活用技術)に興味のある方は、こちらの記事もご覧ください。

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